世挙つて 信越の境秋山をさして平家の
落人と唱来たれと 平氏ハ何れの後胤と
云ふ其素性たに知るものなし 適々系図を
持ちたる 小赤沢なる福原平右衛門か家
の棟ニ 薦包にしたる一軸ありと云とも そは
秋山人さへ古より見る事を免さす 増て
況や 他邦の人をや 其余 名刀・鎗・釼杯ハ 
四十六年の昔 卯の凶年ニ困窮して飢死
する前後ニ 皆食物ニ里人と代替して 只是
は古代と思ふハ黒駒太子の御影のみ それさ
へ絹地なれハ 敢上代の品とも思はれす 只正
直一遍にして里人と婚姻を結ハす 粟・稗・
杤の類を常の食として農を楽しむ  予
倩々勘考するに 平氏の後胤と云とも此辺土
の者さへ知らす 是必平家は城氏ならんか その
由来を察するに 鎮守府将軍平維茂より
四代の後胤 奥山太郎の孫 城の鬼九郎資国
の嫡男 城の太郎資長の代迄 高田の辺り
鳥坂山ニ城郭を構へ 一国ニ威勢を震ひ
謀叛を企つ 折柄 鎌倉将軍家の御教書
にて 上州磯部の郷より 佐々木三郎兵衛西倉入
道打手ニ向ふ処へ 櫓のうへより 城越後守資
長の姪 小太郎か為ニハ伯母なる坂額女か
箭先ニ 流石の鎌倉勢さんさんに射立られる
ニ 信濃国の住人 海野小太郎行氏か一箭に
櫓より射落され 終ニ落城の期となり 一族打死 
或ハ自害 又ハ千隈河ニ附いて奥州へ迯降ると
あれは 秋山の入口見玉村は 此信川に殆近し 往
先き敵中にて 必此落人 中津川の川上の深渓
に遁れ 栖とせしならん  示今大樹欝茂して森
森たり 豈七百年の其昔想像するに堪たり 
庶幾後人の追考を待たむ

于時文政十一天戊子孟冬
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