-- 蔵書の紹介「備急千金要方」「千金方」 --
備急千金要方は、別名『千金要方』または『千金方』という。唐代の代表的な医学全書である。
唐の永微元年(650年)から顕慶4年(659年)までの10ヶ年を費やして撰述された、現存、最古の医学全書として尊重されている。
その金沢文庫旧蔵の宗刊本が古くから米沢の上杉家に収蔵されていた。
この米沢本は南宗の紹興17年(1147年)刊本である。
顕慶4年(659年)前後の序文によれば、人の生命は千金よりも尊いから千金方と名付けた。
現存する千金方には北宋本と元板の翻刻があり、その内容は30巻、31門、223類からなり、医学諸論に始まって、鍼灸に終わり、按摩、調気 (呼吸法)、房中 (閨房に関する研究)、補益 (強壮強精)などに至るまで詳しく論じられている。
出展 江戸幕府刊行物 福井 保 著。昭和49年(1974年)刊、千金方30巻、攷異1巻、重校1巻、全32巻、全35冊、覆刻版。