『和名類聚抄』（わみょうるいじゅしょう）
和名類聚抄は、平安時代中期に作られた辞書である。承平年間（931年 - 938年）、勤子内親王の求めに応じて源順（みなもとのしたごう）が編纂した。中国の分類辞典『爾雅』の影響を受けている。名詞をまず漢語で類聚し、意味により分類して項目立て、万葉仮名で日本語に対応する名詞の読み（和名・倭名）をつけた上で、漢籍（字書・韻書・博物書）を出典として多数引用しながら説明を加える体裁をとっている。
今日の国語辞典の他、漢和辞典や百科事典の要素を多分に含んでいるのが特徴である。平安時代以前の語彙・語音を知る資料として、また社会・風俗・制度などを知る史料として国文学・日本語学・日本史の世界で重要視されている書物である。
和名類聚抄は「倭名類聚鈔」「倭名類聚抄」とも書かれ、その表記は写本によって一定ではない。一般的に「和名抄」「倭名鈔」「倭名抄」と略称される。
巻数は十巻または二十巻で、その内容に大きく異同があるため「十巻本」「二十巻本」として区別され、それぞれの系統の写本が存在する。二十巻本は古代律令制における行政区画である国・郡・郷の名称を網羅している。
本書は、大阪の渋川清右衛門によって1688年以降に二十巻五冊で復刻された本である。
和名類聚抄の地名一覧ページ
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1冊
1巻 天部 景宿類、雲雨類、風雪類地部 山谷類、岩石類、林野類、田園類、塵土類
水部 水泉類、河海類、涯岸類歳事部 春、夏、秋、冬
思神部 神霊類、鬼魅類
2巻
倫部 男女類、老幼類、工商類、漁猟類、微賤類、気盗類
親戚類 父母類、伯叔類、兄弟類、子孫類、婚姻類、夫婦類
3巻
形體部 頭面類、耳目類、鼻口類、毛髪類、身体類、筋骨類、肌肉類、首府類、手足類、経垂類、病類、瘡類
4巻
術芸部 射芸類、射芸具、雑芸類、雑芸具
音楽部 鐘鼓類、琴琵類、管笛類、曲調類
2冊
5巻
職官部 職名、官名
国郡部1 畿内、東海、東山、北陸、山陰、山陽、南海、西海、畿内郡、東海郡、東山郡、北陸郡、山陰郡、山陽郡、南海部
6巻
国郡部2 西海郡、山城国、大和国、河内国、和泉国、摂津国、伊賀国、伊勢国、志摩国、尾張国、参河国、遠江国、駿河国、伊豆国、甲斐国、相模国、武蔵国、安房国、上総国、下総国、常陸国
7巻
国郡部4 近江国、美濃国、飛騨国、信濃国、上野国、下野国、陸奥国、出羽国、若狭国、越前国、加賀国、能登国、越中国、越後国、佐渡国、
8巻
国郡部5 丹波国、丹後国、但馬国、因幡国、伯耆国、出雲国、石見国、隠岐国、播磨国、美作国、備前国、備中国、備後国、安藝、周防国、長門国
3冊
9巻
国郡部6 紀伊国、淡路国、阿波国、讃岐国、伊豫国、土佐国、筑前国、筑後国、豊前国、豊後国、備前国、備後国、日向国、大隈国、薩摩国、壱岐島、対馬島、
10巻
居処部 居宅類、壁類、壁具、門戸類、門戸具、道路類、道路具
11巻
船部 船類、舟具
車部 車類、車部
牛馬部 牛馬類、牛馬毛、牛馬體、牛馬病
宝貨部 金類、玉類
12巻
香薬部 香名類、薬名類
燈火部 燈火類、燈火具、燈火器
布錦部 錦織類
装束部 冠帽類、冠帽具、衣服類、衣服具、帯類、腰帯具、履類、履具
4冊
13巻
調度部上 佛塔具、伽藍具、僧房具、祭祀具、文書具、図絵具、征戦具、剱具、刑罰具
14巻
調度部中 服玩、秤量具、容飾具、漆○具、厨膳具、裁縫具、染色具、織機具、蚕糸具、塀障具、座○具、行旅具、葬送具
15巻
調度部下 鞍馬具、鷹犬具、敏蝋具、漁釣具、農耕具、造作具、工匠具、刻鐘具、○漆具、鍛冶具
16巻
器皿部 金器類、漆器類、木器類、瓦器類、竹器類
飲食部 酒醴類、水奬類、飯餅類、麹○類、酥蜜類、菜羹類、魚鳥類、藍梅類、韮蒜類
5冊
17巻
稲穀部 稲類、米類、麦類、栗類、豆類、麻類
菓瓜部 菓類、菓具、瓜類、羊類、
菜○部 軍菜類、海菜類、水菜類、園菜類、野菜類、
18巻
羽族部 羽族類、羽族名、羽族体
毛群部 毛群類、毛群名、毛群体
19巻
鱗介部 龍魚類、龍魚体、亀具類、亀具体
虫牙類 虫牙類
20巻
草木部 草類、苔類、蓮類、葛類、竹類、竹具、木類、木具
