A 50音 ア行
A 50音 カ行
A 50音 サ行
A 50音 タ行
A 50音 ナ行
A 50音 ハ行
A 50音 マ行
A 50音 ヤ行
A 50音 ラ行
A 50音 ワ行
C 大植物図鑑 刺花
C 大植物図鑑 学校園
C 大植物図鑑 工業
C 大植物図鑑 有毒
C 大植物図鑑 染料
C 大植物図鑑 牧草
C 大植物図鑑 生垣
C 大植物図鑑 盆栽
C 大植物図鑑 薬用
C 大植物図鑑 観賞
C 大植物図鑑 食用
C 大植物図鑑 香原料
-- ショウガ Zingiber officinale 薑・生薑(2861) --

大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "ショウガ")

2861.gif

一名ハシバミ、クレノハジカミ、ハナハジカミと稱し元來爇帶亞細亞の原産種なれども本邦には専ら食用藥用として栽植せらる多年生草本にして莖の高さ二尺許りに達す。葉は被針形をなしミョウガに似たれども小形なり。普通花を出さずと雖も暖地にては夏秋の候に地下に花莖を抽き淡黄色の不整齊花を開く。根莖は屈指の如く其の味辛く香深ければ多く畑に栽培して食用或は藥用に供す。

【食】 本植物の根莖は辛味強く且つ芳香を有するを以て各種の調理に用ひられ、嫩芽も亦食用に供せらる。根莖は塩漬、砂糖漬、乾薑等となし或は味噌をぬりて炙り食ひ或は單に味噌漬となし或は乾したるを更に粉にひきて食することあり。叉紫蘇の葉を雜へたる梅酢の中に入るれば紅色となり且つ酸味を有し味佳なり。叉歐米にては「ヂンジャーエール」と稱する酒を製するに用ゆ。生薑は唯に内地にて需要あるのみならず海外に輸出せらるるものにて有用作物の一なり。今左に生薑の調理法二三を列記すべし。

(イ)薑の砂糖漬 大なる根莖を選び皮を剥きて輪切り若しくは斜めにきり能くゆでたる後淸水一升に石灰二勺を混じたる中に二日間浸し、これを水洗ひして砂糖を混じてよく攪拌し漸次煮つめ絶へず攪拌しつつ砂糖液の絲の如くねばるを度となし別に其の中へ乾燥したる砂糖を多量に投じぬる火にて煮上げ、其の乾燥するをまちて他器に移し更に砂糖を繖布して貯藏するなり。

(ロ)薑餅「バタ」一匁を溶し糖蜜一合五勺、丁子粉、肉粉各三匁と薑粉五匁とを一合五勺の熱湯にとかし之れに重曹少許を加へ何れもよく混交ぜ尚「パン」粉半斤を入れ煉りて焼鍋に「バタ」を引き大約半時間許り焼きて製するなり。

(ハ)薑水 薑を刻み「アルコール」に漬け一週間を經て其の汁を絞り、砂糖を入れて甘味を付けこれに蒸溜水を柱加し壜に入れ置くなり。

(ニ)薑糖 煎じたる氷砂糖を二合程銅鍋にとり分け叉煮返し暫くして火よりおろし、小き摺粉木樣の棒にて鍋のままに摺り十分よく白くなりたる時薑をわさびおろしにてすり木綿布にて濾したるものを注加し更に火にかけて良く混和し美濃紙を敷きて其の上に流し製するなり。

薑の栽培法

土質 薑の最適地は、葉薑叉は根薑と云ひて生のままにて販賣する目的と、干薑として販賣する目的とにより異るものにして、即ち干薑用の薑を作るには壤土、砂質壤土、礫質の赤粘土に作るときは、生の時の量は少なけれ共乾燥の歩留り多くして辛味強く且つ白色の優良品を得らる。叉葉薑即ち生のままにて販賣せんとするには水分を多く含みて貫目の多きを欲するが故に腐植土に栽培するを可とす。此の土壤にては形状大きく生量多き故生にて販賣せんとするには極めて誂へ向きなり。何れの土壤にても薑は連作を忌むものなれば少くとも二三年の輪作をなすを必要とす。

種類 干薑用としても亦葉薑用としても、實驗の成績によれば、赤芽薑若しくは金時薑と稱する品種を最も優良のものとす。
移植 其の植え付けは地方により早晩の相違はあれども、概して四月中旬を適期とす。畦幅は普通二尺より二尺一二寸、株間は一尺乃至一尺四五寸なれど、土地の肥瘠により多少の增減を必要とす。一反歩の種薑は五十貫乃至七十貫を普通とすれど之亦肥瘠によりて異り瘠地には七十貫位肥地には五十貫位にて可なるべし。

肥料 肥料には先づ堆肥を一反歩三百貫位と油粕、大豆粕、鯡粕、鰯粕の内何れなりと木炭と混和して用ふるが、普通大豆粕ならば二十二貫位に木炭七貫位を混合して用ふ。發芽前即ち移植の際原肥として堆肥の全部と大豆粕を用ふるとせば其の六分位を施し、芽の六七寸に成長せし頃即ち六月中下旬頃殘りの肥料を施用して中耕を兼ね土寄せを行ふ。而して此の後は成るべく畦間の除草位に留めて鍬を入れざる樣になすべし。

收穫 收穫の時期は通常十一月下旬より十二月上旬までとし、種子用の薑は降霜前即ち十一月上旬に收穫するを可とす。收量は一反歩五百貫より七百貫位を普通とし、乾薑用としては收量の餘りに多からざる程度のものが却って良品を得らるるものなるを以て先づ六百貫内外の收量を標準として栽培するをよしとす。

洗滌 薑を洗ふには深さ二尺、直徑二尺位にて薑を二十貫程入れ八分目を滿たすに足る桶を造り之れに水を滿たして攪拌し屢々水を更へて淸潔に洗ひ上げ之れを筵一枚に四五貫づつ入れて日乾になすべし。若し之れに石灰を加ふれば十一日位にて乾かし得るも、之れを加へざる時は十五六日を要す。蓋し乾燥日數は日照時間の長程、日射の強弱によりて一定せざるも、十一月、十二月の短日期間には凡そ二十日以内と覺悟せざるべからず。而して乾燥中は屢々手返しを行ひ上下均一に乾燥せしむる樣注意し、乾燥十分と認めし時には收納舎の床上に二日間入れ置き更に筵一枚に六貫目許りづつ入れて一日間乾したる後俵に入れて乾燥せる所に貯へ置くべし。乾燥の初期に於て降雨等のために日干に差し支へる時は往々黴を生じ、品質を損することあるを以て、此の場合には收納舎に取り入れ薄く擴げて一日數回手返しをなし、黴の發生を防がざるべからず。

(イ)無灰干薑の製造法 十一月下旬より十二月上旬までに採取せる薑を洗ひ上げて皮を去り凡そ二週間程日光に干し後凡そ五時間程乾燥器に掛けて乾燥せしむ。

(ロ)有灰干薑の製造法 前記の時期に採取せし薑を洗ひ上げて皮を去り、薑十貫目に石灰五勺以下を混じ、凡そ三週間程日光に晒干すべし。若し石灰の量多きに過ぐるときは形状大に惡しくなり且つ寒氣の時は石灰のために大に乾燥すれども、入梅の時期に至れば濕氣を吸收して黴を生じ、爲に價格を落し一大不利益を生ずることあり、故に有灰製造をなさんには石灰量を成るべく少量にして日光乾燥を十分にし、各箇を切斷しても其の内部と外部とが色を同じくするまで充分に乾燥せしむべし。

(ハ)乾燥上の注意 無灰、有灰乾燥共に日光乾燥中降雨のためにて干し上げ得ざる場合に筵のまま積み置くときは必ず黴を生じて爲に其の形状香氣共に惡くなり大に其の製品の價格を落すものなり、されば之れが豫防策としては先づ廣き庭に筵を敷き其の上に擴げて一晝夜に五六回も熊手を以て掻き廻はしその醱酵を避け腐敗を防ぐべし。日光乾燥に於ても午前十時頃より午後三時頃まで五時間中に必ず五六回手返をなすべし。斯くするときは乾燥中に摩擦を生じ爲に白色となり形状の美を增し従つて販賣上頗る有利なり。

乾燥器使用法 二週間許り日光に晒干し、然る後五時間も旋風器の備へある乾燥器を以て華氏寒暖計の六十度より百四五十度までの温度にて乾燥す。乾燥時間中には六七回蒸發せし水分を排出せしめ叉乾燥器の戸前を一時間毎に開きて形状の模樣に注意し且つ、水分を去りしや否やを撿するため其の中を切斷すること肝要なり。火力度に過ぎ赤色となるなど好ましからず、注意すべし。

歩留 干し上げ歩留りは凡そ二割にして、薑百貫目に就き乾薑二十貫を得るを普通とす。
薑の軟化法 薑を軟化せんには本年の作品を用ふると、前年即ち古薑を用ふるとの二法あれども、概して其の軟化法には古薑を用ふるときは發芽も迅速にて市場へ出すには好都合なり。而して此の古薑は前年の秋に收穫せしものを唯土だけ除き貯藏窖に入れ、稍々乾燥せる砂土を覆ひて貯藏し置き翌秋にこれを用ふるなり。

(イ)古薑軟化法 古薑を以て軟化するには、九月上旬頃先づ貯藏窖より取り出し直ちに軟化窖に伏せ込むべし。此の軟化窖の廣さは一定し居らざるも普通窖底の面積南北一丈一尺東西一丈位にして高さ四五尺位とす。而して其の周圍に一尺、中央に二尺の通路を設け其の他の部分は伏せ床にして、深さ二尺五寸乃至三尺許り掘るなり、即ち此の一窖に南北九尺東西三尺の伏せ床二箇成る。中央の二尺幅の通路より三尺幅の階段を窖の南端に設けて昇降用の通路とす。此の昇降口を除くの外は上部は丸太を並べ其の上には土を覆ふべし。この二箇の床中に厩肥の稍々熱を失ひしもの約三十貫を入れてよく踏み固め床面を平にして其の上に薑約四十貫を極めて密に、發芽部を上向けに並べ其の上に畑土に少し腐触土を混じたる土を薑の見えざる程度に篩ひ掛け、同時に入り口に厚き菰二三枚を覆ひ置くべし。嫩芽發生して一寸五六分に伸びし時(此期間凡そ十日間)菰切りと稱し、入口の菰を剥ぎ取り薄き粗筵を覆ひ置きて微かなる光線を床面に當て、嫩芽の基部に紅色を帶ばしむ。而してこの紅色を一樣に帶ばすることは斯業上最も困難なる仕業にして、多年の熟練を要するなり。菰切りより以後二日置き位に薄きものと厚きものと取り換ふるなり、勿論夜間叉は雨天の時は厚き菰を以て覆はざるべからず。斯くして嫩莖が伸長して四葉を開展するまで時々微温湯を床面に撒布して適當の温濕を補給し、第五葉を開展するを見て始めて收穫し、一束として市場に出すものなり。

(ロ)新薑の軟化法 古薑を收穫せし跡床の發爇物を出さずして其のままになし置き、其の上に十一月下旬の頃尚ほ新鮮なる厩肥を一歩に約四五十貫位を踏み固め生薑を並べて軟化せしむるものにして、其の方法は前法と同樣なり。

以上の如くにして、一期間三回位行ふことを得。

お問い合わせ
ギンジョー薬草ハーブ日和
植物図鑑
1779 記事
  •  江戸時代の本で
  •  植物図鑑を作っています。
  •  所蔵している書籍は,
  •  複写に対応できます。
本草綱目
本草綱目
李時珍 著
花譜
花譜
1694 貝原益軒 著
農業全書
農業全書
1697 宮崎安貞 著
広益本草大成 / 和語本草綱目
広益本草大成
1698 岡本一抱 著
菜譜
菜譜
1704 貝原益軒 著
用薬須知
用薬須知
1712 松岡恕庵 著
大和本草
大和本草
1708 貝原益軒 著
和漢三才図会
和漢三才図会
1712 寺島良安 著
草木育種
草木育種
1818 岩崎灌園 著
遠西医方名物考
遠西医方名物考
1822 宇田川玄真
日本山海名産図会
日本山海名産図会
1830 蔀関月 著
四季漬物塩嘉言
四季漬物塩嘉言
1836 小田原屋
古方薬品考
古方薬品考
1841 内藤尚賢 著
草木六部耕種法
草木六部耕種法
1874 佐藤信淵 著
神農本草経
神農本草経
当研究所所蔵の神
薬徴
薬徴
吉益東洞著,江戸
薬徴
凶荒図録
1885 小田切春江
古事類苑(植物)
古事類苑
明治時代に和装本
大植物図鑑
大植物図鑑
牧野富太郎のライ