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-- アカバナノムシヨケギク 赤色除蟲菊(0067) --
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前種と同屬の品種にして、同じく驅蟲劑原料用植物として各地に栽培せらる。形態殆んど前種に同じけれども、葉は彼に比し分岐すること尠く、葉は縁邊に鋭鋸齒を有し其の色濃綠色を呈す。此花は赤色の舌状花を輪生し、中央に黄色の筒状花を密生す。

【藥】 本品を驅蚤粉として使用する事は人の知るところなれ共、本品は單に驅蚤劑のみならず蛆、虱、南京虫、蜈蚣、毛蟲、羽虫、蠅、蚊、根切虫、穀蟲、綿藍、莨、野菜、果樹の害虫其の他、毛虫、蚜虫等の驅除に用ひて頗る効用の多きものなれば其の用途甚だ廣し、去れば此花は粉末に製し或は液體として用ひらるゝ外、枝葉は粉碎して一種の香料を交へ使用する等、自然其の販路は無限と云ふも過言に非ざるなり。本品は單に内地の需要を充す巳ならず、近時は海外に輸出するの盛況なり以て販路の如何に廣きかを知るべし。最近除虫菊製品の海外に輸出せらるゝ價格を擧ぐれば左の如し。

大正十年度輸出價格   ......  一二七・三三一圓 
大正十一年度輸出價格  ......  四一七・八四二圓
大正十二年度輸出價格  ......  五六三・二四一圓

赤花種はペルシアの原産なるを以て一にペルシア種除蟲菊と唱へ、白色種はダルマシヤ國の原産なれば一にダルマシヤ種除蟲菊と稱す。尚此二種の外にウンガリヤ種、印度種等の種類あれども、本邦にては重に前二種のみを栽培するもの多しとす。

除蟲菊の栽培法

除蟲菊を栽培するに當り先づ白色種と赤色種につきて何れが收益多き者なるかを知る必要あり。即ち白色種は赤色種に比すれば同一樣に栽培するも花を着くること多く叉觀賞用とするも至極華麗に見ゆると同時に、除蟲粉を製するも多量に得らるゝを以て、赤色種より利益なれども亦一失を有す。即驅蟲の効力少きことゝす然し之れは比較的に云ふ言葉にして無効と云ふにあらざれば一は多花を産する利益あれども効力少く、一は効力遙に優位なれども花の量少き欠點あり。こは自然の然らしむるところにして如何ともし難きものならん。去れば本植物を栽培するに當り製粉の目的なれば白色種を、製液の目的ならば赤色種を採用するを以て利益ある方法とす。
土質 本品は何れの種類にても卑濕、沼澤等の土地ならざる限り殆んど適不適と云ふことなし。即不毛の山地叉は原野、或は他の作物の耕作に適せざる土地、或は荒廢の砂礫地にても全く成育せずと云ふ處なきのみならず、肥沃の土地は却つて發育佳良にして繁茂し過ぎ收穫の少き位のものなり。

苗床 本品の播種は春の彼岸か秋の彼岸何れにても可なれども、秋の彼岸の方凡てに適合したる期節とす。播種は一定の苗床に行ふものなれば先づ第一に苗床を作らざる可からず。然し僅か計りの栽培ならば庭の一隅をよく地均しをなし播種するも差支なけれども、多數に栽培するには是非共苗床を作るを可なりとす。苗床は茄子、胡瓜等を播種する時に作る樣にすれば差支へなき者なれば其の方法は茄の栽培法により參照すべし。種子は一坪につき五勺乃至一合を程度とし、播種を終りたらば種子の隠るゝを度とし篩にて一面に細き土を覆ひ輕く其の上を壓へ更に粉穀を一二分の厚さに撒布し置くべし。かくして強雨か強風の場合には筵の類を被せ置き晴天ならば日出より日没まで取り除き置く樣にし、若し叉乾き過ぎたるときは如露にて水を灌ぎかくる樣にすべし。

(注意)覆ひ物をする時、蚯蚓の害を受くることあるものなれば、播種の際木灰を細かき土に混ぜてふりかけ置けば其の心配なきものとす。

播種後一二週間を經れば發芽し初むるにより絶えず水を灌ぎて苗の成長を促し、密生したる處は間引きて苗の間を一寸位にし、尚生長するに從ひ二三寸迄に間引くべし。かくして五六週間を經、約一寸餘に生長したるとき一度之が植えかへを行ふべし。之れを假植と稱す。

假植 は假植床を作り曇天ならば何時でも、晴天ならば午後三時頃より植換へにかゝるべし植付の體栽は強き苗ならば三寸乃至四寸、弱き苗ならば二寸乃至三寸位とし、全く根付きたらば極く薄き人糞尿を與へ雜草を除き成長せしむ。此の假植床の坪數は苗床の二三倍あれば充分なり。而して本植地一反歩に苗數七千株を植え付くるとして苗床は三坪、假植床は七坪乃至八坪あれば差支なきものとす。

本植 假植の後五ヶ月若くは六ヶ月を經過したるときは本植にかゝるべし。即秋蒔のものは翌年二三月頃より梅雨の頃迄春蒔のものは其の年の秋に行ふを可とす。本植の土地は前に述べたる如く濕潤ならざる處を可成親切叮寧に耕作整地し、通常幅二尺乃至二尺五寸、高三寸乃至四寸位の畦を作り、これに株と株との間を九寸乃至一尺位に一ヶ處一株宛植え付くるものなれど、苗の弱きものは二株位を一株として植付くる必要あり。植付を終りたらば腐りたる水叉は肥料として効力の微弱なる浴場の捨て水位を二三囘施與し、決して他の肥料を施すべからず、尚夏季に至り如何に熟するも本邦の季候にては決して害を受くるものにあらざれば水を與ふる必要なき者とす。

施肥 移植したる苗が根付きたらば先づ第一囘に極めて薄き人糞尿を施し、寒に入りて再び同じ肥料を施し、其の後は毎年秋より春迄の間に適宜一二囘施肥すべし。肥料として適當なる者は魚粕、油粕、米糠、木灰の類、叉は堆肥と過燐酸肥料の如きものを可とす。亦時々除草する必要あるものなれど、中耕は却つて根を傷付くることあれば餘り多く行はざるを可とす。

根分け 本品は宿根草なれば目的の花を摘み取りたる後は地上二三寸の處より莖を刈取るなり。然るときは新芽を出して盛に繁茂し翌年亦開花するを以て毎年採取することを得らるれども、四五年を經過するときは漸次花輪小形となり自然收穫を減ずるものなれば、根分け法を行ひ此缼點を補ふ必要あり。根分けは春にても可なれども秋期即ち十月中旬頃を以て最も適當の季節とす。根分法は別に六ケ敷ものにあらず大株ならば二乃至三株に、小株ならば半株位に分ちて植付くるときは再び元の元氣を出し尚二三年は盛に花の着生するに至るものなり。

採取 除蟲菊は充分に開かざる花を採取する方効力の多きものとすれども、かくては收穫少き不利有るものなれば通常開花後に摘み取るを可とす。花を摘むには可成頭部のみを摘み取るを可とすれど、多數摘み取るには少しは莖を取るも亦致しかたなきところとす。摘み取りたる花は陰干にして良く乾燥せしめ然る後貯ふるか、或は直ちに販賣するものとす。

加工法 乾燥したる花を爐にて温むるときは一旦濕氣を帶ぶれども、やがて全く乾燥しからからになるものなれば、之れを藥研叉は製粉機にかけて粉碎し粉末とするなり。而して乾花の中最も粉になり易き部分は花の心にして蕚の付たるところは中々粉になり惡きものなれば最初に出來たる粉末は鮮黄色を呈し香氣強きものを收穫す最上等品なり。尚再三篩にかけて粉碎するに從ひ即花瓣も蕚も共に粉末となるものなれば粉の色は段々惡くなり終には褐黄色を呈するに至る、之れ普通品と稱するものなり。尚色が惡くなりて褐色叉は暗色を帶ぶる樣になりたるものは劣等品として價の低きことは勿論なり。最初花を爐中にて乾し上げ方の充分ならざるときは、出來たる粉末は時日を經るに從ひ水分のため塊になり終には黴などを生し効力を失ふに至るものなれば注意すべき事とす。

收益 除蟲菊栽培による收益を概算するに、先づ一反歩より採取する乾花は優に二十貫目を收取せらるゝものなれば、一畝歩より花粉末約一貫二百六十匁を製出する割合となるなり。假に一磅の花粉末を最低壹圓と見積るも、一畝歩の花粉代のみにても十圓五十錢となり、一反歩にては百五圓の收入となるなり。此内地代、肥料代、人夫代等を差引くも優に七十圓内外の實益となる割合なり。去れど普通素人が栽培するには製粉を目的とするよりは、乾花にて商人に賣り渡す方安全なる方法とす。此乾花、莖葉等は全國藥種商の競ふて買入るゝものなり。殊に近年は前述の如く盛に外國へ輸出するものなれば決して販路に苦しむ等の事なく、一層将來に於て有望なる輸出品として目さるるものなり。

使用法 燻烟用即ち蚊遣粉として使用するには前方法により製出したる正粉に莖葉等の粉末を混合し尚其の中へ鋸屑を適宜に混入し使用す。但し本燻烟料は使用前三十時間前に調合使用するを最良なる時機とす。

撒注用除蟲液として使用せんとするには正粉五十匁に對し淸水四斗を加ふれば可なれども、更に本液を有効ならしめんとするには之れにアルコホル三升を加ふるを可とす。但し自家用としては使用の際隨時調合するを可とすれど、販賣用に供する場合は瀬戸物製の壺叉は罐の中に入れ其の口を密封し置く必要あるものとす。

蚊遣香を製せんとするには最初の花粉を篩にて通したる滓に莖の粉、鋸屑粉等を混入し糊を加へてよく攪き混ぜたる後、細長き紙の袋に入れ製出乾燥するものとす。


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