-- オリーブ 阿列布(0879) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "オレイフ")

一名ホルトノキと稱し南部歐羅巴の原産なる常綠木本なり。幹の高さ二丈に近く葉は被針形或は長橢圓形全邊革質にして短葉柄を有し其の色淡綠色にして四分せる鐘状花冠を有す。果實は核果にして卵圓形をなし暗綠色乃至類褐色を呈し頗る脂肪に富み内に三箇の種子を藏す。
【藥】 本植物の充分熟したる果実を採集し石核を徐き壓搾して製出せる脂肪を「オレーフ」油と稱し藥用に供す。主成分は脂肪油大約七十%にして其の他に少量の軟脂、「アラヒン」等を含有す。藥局方にては引赤紙、單鉛泡膏、弱發泡膏、藥用石鹼等を製するに用ゆ。其の他軟膏、硬膏等の原料とす。
圖中(イ)は一花を示したるもの(ロ)は果實(ハ)は果實の外皮を切斷し種子を示したるものなり。