-- ウワウルシ (1020) --
北半球の諸地に播布し北地に於ては平地に南地に於ては山頂に産する常綠の小灌木にして莖は地に臥し長さ三尺餘に達す。葉は革質樣にして散在し短き葉柄を具へ倒卵形をなし縁邊は平坦なり葉柄に向ひ狭小となる。花は短梗を有し小穂上花序に着生す。花冠は鐘状にして帶紅白色を呈し反曲せる五瓣を有し内に十箇の雄蕊を有し此の雄蕊は葯房の外方に二箇の角状附屬物を有す。子房は五室を有し各室に一種子を具へ果實は球状滑澤なる石果にして赤色を呈す。
【藥】 本植物の葉を「ウワウルジ」葉と稱し藥用に供す。本品は沒食子酸を含有する外「アルブチン」なる結晶の配糖質及び「エリコリン」なる無晶形の配糖質及び「ウロジン」なる中性化合物を含有す。
専ら尿道の諸症に收斂及び防腐藥として煎用す。到る處の藥種店に販賣す。