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-- イチヤクソウ Pyrolaceae 鹿蹄草(1021) --

大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "イチヤクサウ")

1021.gif

到る處の山林中稍々濕氣ある土地に自生する草本なり。葉は根生にして厚く深綠色を呈し冬に至るも凋まず。5,6月の頃葉間に花莖をぬくこと5,6寸許に達し白色5瓣にした10個の雄蕊と1個の長き花柱を有せる雌蕊とを有する小花を開く。本屬(Pirola)の花の花冠は離生せる瓣片よりなり單性するか或は總狀花序に排列し花柱の長きは其の特性なりとす。

【觀】 時に採集栽培し愛らしきものなり。用土は山地或は赤土を可とし肥料は油粕の腐熟せるものにて充分なり。

【藥】 蛇、まむし其の他の毒蟲に咬れたるとき本植物の生葉を鹽にて揉むか其の儘揉みて塗布すれば毒を消し又瘡傷に塗布するも奇効あるものなり。本植物は山地の濕地に生じ蛇、まむし等が同樣の土地に棲息し萬一吾人が其の害毒に犯されたる時突差の應急手宛を加へらるゝは自然の妙と云ふべきものならんか。


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