-- アンモニアクム 安母尼亞屈謨(1108) --

「ペルシャ」原産の多年生草本にして高さ七八尺に達す。葉は羽状複葉にして莖の下部に生じ、花は小形白色にして圓き繖形花序をなす。
【藥】 本植物より採りたる樹脂を「アンモニアクム」と稱し藥用に供す。本品は箇々分離し或は多少枯合せる顆粒或は稍々巨大なる塊片よりなり類褐色を有し其の新破碎面は暗類白色を呈す。寒冷の時は脆く温熱に逢へば軟化すれど澄明に溶融せず。臭氣は特異にして味苦く辛烈にして芳香性なり。本品を粉末となすには之れを除濕器内に於て乾燥し成るべく低度の温にて粉碎すべし。茶に類する微弱の香氣を有し味は微に芳香性にして苦く咀嚼するときは少時舌上に鈍麻の感覺を覺ゆ。
本品は祛痰藥として内用する外膏藥に製し、叉「コカイン」製造の原料に重用す。