-- アルテア 亞爾答亞(1324) --

一名ウスベニアフイとも稱す。歐羅巴及び亞細亞の北部に産する多年生草本にして本邦には産出せず。莖葉共に粗毛を密生し葉は卵形或は心臓形なれども往々三裂することあり。花は大形にして淡紅色を呈し數個づゝ腋生す。
【藥】 本植物生後大凡二年生にして未だ木化せざる根を枝根と共に採取し帶黄灰色の抱層及び纎維根を除去せるものを「アルテア」根と稱し藥用に供す通常坊間に販賣するものは單根をなし外面類白色にして縦皺紋を帶び纎維根を切り去りたる瘢痕を着く。本品の主成分は粘液の外「アスパラギン」、澱粉、糖分等を含有す。胃腸の刺戟を緩和せしむるの目的として粘滑藥として用ゆる外、丸劑、錠劑等の賦形藥となすことあり。