-- ウツギ 溲疏(2025) --

叉ウノハナ、クチベニウツギと稱し、原野に多く自生する落葉灌木にして多く對生し、高さ五六尺を常とすれども時に一丈以上に達することあり。葉は橢圓形にして尖り短き柄を以て對生し、縁邊に細鋸齒を有し表裏とも甚だ粗糙なり。五六月頃白色の五瓣花を穂状花序に開花す。
【工・觀】 本植物の材を取りて木釘を作ることは人の知るところなり。觀賞用としては庭園に栽植し叉生垣として風致を添ふる外左の藥用に供す。
【藥】 本植物の果實は和方にては君子仙と稱し、糯米に和して咳嗽の藥とす。