-- クコ 枸杞(0637) --

原野路傍等に自生する落葉灌木なれども時に庭園、生垣等に植込むことあり。莖は大なるは高さ七八尺に達し叢をなす。葉は柔軟にして細長く稍々ザクロの葉に似たれども光澤を有せず。夏日葉腋に淡紫色の小花を開き花後小卵圓形の漿果を結び熟すれば紅色を呈す。本種には他にオニクコ一名イヌクコと稱するあり、葉小に刺多く果實小、且つ長く味苦きものなり。
【食】 嫩葉は取りて飯と共に煮て食し果實は甘味を有するを以て小兒等は好んで食ふものなり。
【藥】 本植物の葉を煎用すれば眠り藥として効能あり。叉莖葉共に煎出したる液は毛髪のくせ直しとして妙なり。根皮は漢藥名にて地骨皮と稱し煎出液を口舌の瘡傷に用ひ或は腎臓病、肝臓、肺病等の虚熱を消治す。(使用法注意百六八頁參照)