-- クサギ Clerodendrum trichotomum 海山常山(0734) --

山林原野に自生する落葉灌木にして莖は通常5,6尺より1丈に達す。葉は廣卵形にして短毛を密生し先端尖り長柄によりて枝上に對生す。八月頃枝梢上に聚繖花序をなして多數の5裂せる合瓣花を着生す此花は白色なれど外部淡紅色を帶び蕚片は帶赤色を呈す。本花冠は下部細長の筒状をなし雄蕊は長く花冠外に突出し花後小球果を結び碧色に成熟し一見極めて毒々しき觀を有するものなり。本植物は莖葉共に惡臭を有るにより此名あり。
本種には其の種類甚だ多く主なるものにシラケクサギ、マキハクサギ、ヤヘザキクサギ、ホソバクサギ、イボタクサギ、等稱するものあり。
【食】 本植物の嫩葉を取り煠熟したる後水に浸し度々水を取換へたる後食するか或は之れを燥乾し時に應じ食す。又此木の心に蛆を生ず之れをさぎのむしと稱し炙りて食すれば頗る佳味なり古來之れを子供の疳藥と稱す。
【藥】 此葉を酢に浸し脚の爛れたるに貼布すれば妙効あり。