-- ゲンノショウコ Geranium thunbergii 牻牛兒苗(1581) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "フクロソウ")

普通にゲンノショウコと稱す。到處の路傍、畦畔等に自生する多年生草本にして、全體地に臥し直立することなし。莖四五尺に達し、葉を對生す。葉は三乃至五箇の掌状に分裂し、稍々犬猫などの足に似たるを以てネコノアシグサの名を有す。この葉は其の表面に紫黒色の斑點あるを常とす。夏日葉間に小枝を出し、白色又は淡紅紫色を呈する五瓣花を着生し、稍々梅花に似たるを以て叉ウメヅルの稱あり。花後長き蒴を結び熟すれば竪に五裂して種子を散ず。
【藥】 本植物の莖葉を採り陰干として貯ヘ置き、必要に應じて之れを適宜煎用すれば下痢一切の妙藥となる。用法は一合四勺許りの水に乾葉五匁位を入れ半分に煮詰め一日三回に服用す。或は味噌汁に入れて煎用するも可なり。
尚本植物の煎汁にて一切腫物の傷口を治癒し而も痕跡を止めざる特効あり。