-- セイヨウタンポポ Taraxacum officinale (0003) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "セイヨウタンポポ")

北半球各地の原野に自生する多年生草本にして、藥用に供する品種として重に採集するものなり。花莖單一若くは數莖を簇生し、頂端に一箇の頭状花を開く。莖上には少許の毛茸を有す。本種の葉は前種と異り基立性にして縁邊は大鋸齒状に缼刻す。花色は黄色を呈し、花後冠毛を有する種子を飛散すること前種に同じ。
【藥】 藥物學上よりは之れを蒲公英(ほこうえい)と稱し、其の全草を春季開花前に採集乾燥して藥用に供す。本品の主成分は「タラクサチン」なる苦味質及び「イヌリン」なる澱粉異性體を含有するものにして、苦味緩下の効あるを以て便秘を兼ねたる消化不良、肝臓病等に用ゆ。局方によれば其の用量は五・〇乃以、一〇・〇を煎劑叉は座劑として用ふるものとせり。
家庭用法 家庭用即俗に云ふ素人用として之れを使用せんには、以上何れの種類にても先其の根を取りてよく洗浄して適宜に細切し土瓶に入れ淸水を注入し煎出したるものを杯に一杯宛一日三囘宛服用すれば胃病に大効あり叉其種子を採取し食當り等の時適宜湯叉は水にて飲下せば解毒する特効あり。