-- シナ 攝綿支奈,支奈花(0278) --

叉セメンシナとも云ひ中央亞細亞の原産にして土耳斯坦の「キルギーセン」湖畔に繁殖する半灌木状の草本なり。莖高さ二尺餘に達すれど葉は其の數少きものにて各葉は羽状に分裂し小鰭烈葉をなし下面は帶灰綠色の毛茸を生じ下部の葉は葉柄あるも上部のものは之を缺く。花は小形の頭状花にして其の形ヨモギの花によく似たり。
【藥】 本植物の未開の小頭状花をシナ花と稱し藥用に供す。其の状恰も種子の如し。新鮮なる時は帶綠黄色を呈すれども時日を經たるものは褐色を呈す。芳香を有すれども味は不快にして淸凉なり。本品は其の儘粉末となして蛔蟲を驅逐する目的に應用することあれど、通常は「サントニン」製造の原料に供するものとす。