-- センタリウム (0846) --
歐洲の大分、前亞細亞及び亞非利加の北部に産出する藥用植物なり。二年生草本にして高さ一尺内外に達し四稜空洞にして多くの小枝を分つ。葉は倒卵形にして短き尖端を有し下部は狭窄し短柄を有す。尚此の葉は下部に有るものは小形なれども上部に至るに從ひ狭く花莖に至りては殆んど線状を呈し凡て全邊にして光澤を有し稍々硬厚にして毛茸を有せず。本種の花は五尖裂せる蕚片を有し花冠は先端五裂し薔薇色を呈するもの普通なれど往々白色花を有する者あり。雄蕊は花粉の脱落せる後螺旋状に迥旋す。本邦にも藥用植物として栽培するものあり栽培法其の他リンダウに同じ。
【藥】 本植物の二年生を花時に採集せるものを藥用に供す。主成分は未だ明瞭ならざれども主として苦味藥として賞用し獨逸局法の苦味丁幾に入る。