-- ソゴウコウ 蘇合香(1975) --

小亞細亞の南部及び「シリア」の北部に産出する喬木にして、幹高さ三四丈に達す。葉は長き葉柄によりて互生し、葉身は掌状に分裂し、各裂片は鋭鈍二樣にして縁邊に鈍鋸齒を有す。花は小花頭をなし、雄花は裡生し、雌花は蕚の痕跡を存して花冠を欠く。果實は木質性にして内に扁壓せられ綾縁は種子を含む。
【藥】 本植物の樹皮を剥ぎ海水を加へ煮沸して煎出したる「バルサム」を流動蘇合香と稱し藥用に供す。
本品は溷濁せる灰色粘稠液にして水中に沈下す。本品は「スチロール」「ストレジン」及び他の桂皮酸を含有し、専ら「オレーフ」油に混和し塗擦劑として疥癬の治療に應用す。