-- スイバ Rumex acetosa 酸模(2542) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "スイバ")

一名スカンボと稱し、多く原野に自生する多年生草本にして概形ギシギシに似たれども彼に比すれば莖葉稍々瘠せて小さく紅紫色を呈し其の味酸し。葉は長卵形鋭尖にして基部稍々箭形をなす。春日梢上數枝を分ち穂状をなして淡綠色に淡紅を帶べる小花をつづる。雌雄異株とす。
【藥】 若き葉は食用に供するものあれど叉藥用として有効なり。即ち本植物の根三分、硫黄華二分を混じてよく摺り交ぜ之れに少量の酢と醬油とを等分に混じてべとべとにし之れを入浴後に擦り込むときは疥癬を治するに妙なり。
本植物の莖赤きものの根五十匁を水洗し之れに葱の白根五本、くちなしの實三個を混じてよく搗きべとべとにしたるものに小匙に一杯の「メリケン」粉を鶏卵一箇に混じてよく掻き混ぜたるものを加へて更に練り合せ、之れを質のよき和紙に厚さ三分、三四寸四方位に延ばして痛む部分に貼布し其の上を繃帶し毎日一回宛貼りかふるときは如何に重患なる「リウマチス」にても二ヶ月位にて全治する特効ありと。