-- サフラン Crocus sativus L. 泪夫蘭・蕃紅花(2888) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "サフラン")

園圃に栽培せらるる多年生の藥草にして葉は松葉状を呈し長し。九月頃畑地に種球を栽植すれば十月頃葉を出し十月より十一月にかけて葉間より淡紫色の極めて優美なる花を出し芳香愛すべし。花は六瓣六雄蕊にして中央に黄赤色の雌蕊三本を有す。
【藥】 本植物の雌蕊頭を乾かしたるものを「サフラン」と稱し健胃、鎭痙、通經等の諸藥に用ひ?藥局方にては「サフラン丁幾」、芳香阿片酒等を製するに用ふ、其の他菓子及び食品を黄色に染むるに使用す。
本品は古來夫人生殖器の諸病に重用せられ現に坊間に販賣する中將湯、實母散の如き本品を主要配劑品としつつあれど現時の醫學界にては餘り重用視せられざるに至れり。