-- チョウセンアサガオ Datura metel 曼陀羅華(0622) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "チョウセンアサガオ")

往々本邦各地に栽培さるることあれど叉自生する一年生草本にして莖は高さ三四尺に達し疎らに枝を分岐す。葉は卵圓形にして先端尖り縁邊に三五の不齊尖起を有す。夏の末葉腋或は枝股に漏斗状にして五突起ある大形の漏斗状花を開く。花後結ぶ處の果實は橢圓形にして大さ無花果の如く外面に粗短の刺を有し内に黒色の扁子を收む。
【毒】 この種子は峻烈なる魔醉性毒分を含有す。
【藥】 本植物の葉を花時に採集し乾燥したるものを藥用に供す。味は微に苦く峻烈なり。主成分は二種の「アルカロイド」、「ヒヨスチミアン」、「アトロピン」等にして醫治効用は概して莨菪に同じきも稀に喘息、慢性氣管枝加答兒に其の浸劑を用ひ、叉喘息煙草として本種の葉或は「ヒヨス」草を混じて紙卷煙草を製するに用ゆ。