-- トラガカンタ (1663) --

小亞細亞、南米「ブラジル」等の諸地に産出する半灌木にして、葉は奇數複葉をなし、此の複葉の中肋は小葉の凋落したる後棘刺状をなす。夏日梢上葉腋に黄色の蝶形花を着生し、花後細小なる莢を結び、一房に一種子を藏す。
【藥】 本植物の幹に自然或は疵傷を付けて浸出したる粘液の凝固したるものを「トラガカンタ」、或は「トラガカンタゴム」と稱し藥用に供す。主として不溶解性粘液よりなり、傍ら大約八%の溶解性「ゴム」即ち「アラビン」其の他澱粉を含有す。
本品は粘漿とし緩和包攝藥として内用に供することあり、叉丸劑、乳劑、錠劑等の佐使藥に用ふ。其の他工業上の用途多きものなり。