-- ナンテン Nandina domestica 南天竹(2258) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "ナンテン")

南方暖地に自生する常綠の灌木なれども叉廣く庭園に培養せらるるものなり。莖高さ四五尺を常とすれども大なるは丈餘に達し、太き樹幹をなし稱々叢生するの觀あり。葉は被針形の小葉より成る數回羽状複葉にして葉柄の基脚は莖を包む。初夏白色五瓣の小花を複總状花序に排列し、花後紅色を呈する漿果を結ぶ。一種黄白色の小果を結ぶものあり、俗に之れをシロナンテンと稱す。
【藥】 本植物の果實は古來藥用として實用せられしものなり、主なる用法を擧ぐれば左の如し。
一、果實を陽乾し叉は生のまま煎用すれば必ず咳を止むるに効あり。
二、本植物の幹をけずり煎用すれば中風に効あり。
三、枝葉を煎用すれば吐瀉を止むるに妙なり。
四、白南天の果實叉は枝葉を煎用すれば強壯劑・強筋劑・解爇劑として効あり。
五、小兒等の咽脹したる時白南天の實を生のまま飲下すれば不思議に脹れのひくものなり。