-- フラングラジュ (1372) --

歐羅巴、中央亞細亞等に産出する落葉灌木にして、幹高さ八尺内外に達す。葉は互生にして葉柄を具へ、其の形橢圓形或は倒卵形をなし、全面平滑にして殆んど全邊なり。花は小形の白色花なれども、稍々黄綠色を帶び兩性なり。花後黒色の核果を結ぶ。
【藥】 本植物は十四世紀の初め既に藥用植物として歐洲に知られたるものなり。即ち本植物の幹及び枝皮を採取したるものを少くも一箇年間貯藏したる後使用するものにして、之れを「フラングラ」皮と稱し、主成分は配糖體樣の物質「フラングラ」酸とす。
本皮は腹痛を發せずして緩下の効を奏するにより大黄の代用として便秘、疾病、肝臓疾患に對し一〇・〇乃至三〇・〇を水二〇〇・〇の煎出液となし、毎二時一食宛與ふ。通例は其の流動越幾斯を以て生皮に代用するを便とす。(日本藥局法に據る)