-- ペルーバルサム 百露抜爾撒謨樹(1758) --

中央亞米利加太平洋沿岸に位する「サンサルワァードル」に於ける「バルサム」岸山林中に産する喬木なり。幹の高さ凡そ五十尺に達す。葉は七乃至十一箇の小葉よりなる奇數羽状複葉なり。花は不整齊の白色花にして總状花序に排列す。
花後生ずる莢は懸垂し、強く扇壓せられ翼状をなし種子は腎臓形をなす。
【藥】 藥用に供するものは本植物の幹皮の部を敲打して柔軟ならしめ、叉は皮部の一部を剥離し炬火にて烘焦し、布片を以て其の部位を覆ひ浸出せる「バルサム」を絞出し、之れを前に得たるものと共に壜中に容れ靜置して水分を傾斜し去り、淸澄ならしめたるものにして之れを「ペルーバルサム」と云ふ。
主成分は「シンナメイン」にして其の他に遊離桂皮酸、「ワニリン」、樹脂等を含有す。主として疥癬を治療するために外用す。