山地に自生する一年生草本にして莖葉共に軟質なり莖高さ二三尺に達し葉は種々の變種ありて一樣ならざれども、何れも多少の缼刻を有し葉柄に流れて其境界明かならず。夏より秋にかけて梢頭分岐し複總状花序をなして多數の頭状花を綴る。一箇の頭状花序は長形にして通常紫色を呈する十箇の頭状花よりなるものなり。花後白色の冠毛を有する種子を生じ之により種子を散布すること本屬の特徴とす。本種には一種北地の山野に自生するものあり。ヱゾノムラサキニカナと稱す。