-- マチン 馬錢子,番木鼈(0852) --

東印度に産する常綠樹にして高さ一丈五尺餘に達す葉は卵圓形革質にして三個乃至五個の肋を有し全邊をなし對生なり。花は聚繖花序をなし蕚は四乃至五裂し小形、雄蕊は五箇なれども花絲を有せず雌蕊は線状をなし子房は上位にして二室を有す。花後結ぶ處の果實は大さダイダイの如く中に直徑五六分を有する有毛扁圓の種子を生ず。この種子を馬錢子と稱し之より「エキス」叉は「チンキ」を製し藥用に供す叉鼠大等を殺すに用ゆる等激毒有するものなり。
本屬(Strychnos)の花瓣は幼時に於て鑷合状をなし子房は各室に多くの胚珠を含み花後漿果を結ぶ。
【藥】 種子を「マチン」子と稱し藥用に供す。有効成分は「ストリキニーネ」及び「ブルチン」なる二種の「アルカロイド」にして主として神經系統興奮の目的として内服に應用する外「ストリキニーネ」及び其の?類を製するに用ゆ。
圖中(イ)は一花を示したるもの(ロ)は果實(ハ)は果實の外皮を切斷し種子を示したるものなり。