-- モクセイ 木犀(0858) --
一般に叉ギンモクセイと稱し専ら觀賞用として庭園に培養せらるゝ常綠木本にして幹の高さ一丈餘に達す。葉は橢圓形にして對生し其の質硬くして縁邊に多數の鋸齒を有す。十一月頃葉腋に多數の小花を簇生す。本花の花冠は深く四裂し内に二雄蕊一雌蕊を有し特殊の芳香を發す。本屬(Osmanthus)の植物は單葉或は複葉(若し複葉ならば三箇の小葉より成る)を有し花は帯黄色若くは白色にして葉腋に叢生し花冠は通常四裂し裂片は覆瓦樣に排列す。果實は漿果叉は核果にして裂開せざるものなり。
【園】 庭園樹として廣く愛養せらるゝものなり。本植物はヒヽラギと同じく挿木によりて繁殖せしむるものとす。其の方法は梅雨の初めに枝を四五寸に切り其の葉を半ば以上摘去し蔭濕の地に挿せば根を下す。ヒヽラギも本植物に準じて可なり。以下少しく一般樹木挿木法を記述し參考に資せんとす挿木法を行ふ場合は本項參照すべし。