「マラツカ」半島原産の常綠喬木にして幹高さ凡そ二丈餘に達し、長卵形全邊にして平滑なる葉を對生す暗紅色の四花瓣を開き、花後球形の漿果を結ぶ。
【食】 本果實は直徑凡そ三寸許を有し、果肉は汁液に富み芳香ありて其の味「オランダイチゴ」と葡萄とを混和せるが如く頗る美味なるのみならず、少しも有害の成分を含まざるを以て如何なる病者に與ふるも差支なき程なり。尚ほ本植物は其の形態の美なるにより觀賞用としても愛養せらるゝことあり。