-- ムクノキ 撲樹(2642) --
一名ムクエノキ叉オムク等稱し暖帶及び温帶の南部各地に自生する落葉喬木にして幹の高さ數状に達し概形ケヤキに似たり。本樹の樹皮は帶黄靑黒にして灰色の斑點を有し若き樹は稍々粗き皺を有すれども後には外皮に裂目を生じ鱗片状をなして剥脱す。葉は橢圓形叉は卵形にして先端尖り葉面頗る粗糙にして其の支脈はエノキより多く縁邊に鋸齒を有す。春日葉と共に淡綠色の雌雄花を出し、秋日大豆大の球状花を結び熟して蒼黒色を呈す。
【食】 果實の熟したるものは頗る甘く生食に適す。立秋前後採りて陰乾とし貯へ用ふ。叉此の樹にエノキタケと同樣なる菌を生じ其の味良好にして價亦貴きものなり。