-- マコモ (3436) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "マコモ")
一名コモ、ハナガツミ、カツミ、チマキグサ等と稱し沼澤及び小川の淺水中に自生する多年生草本にして、春日奮き地下莖より發芽し夏日高さ五六尺に達す。葉は互生にして形は細長く長さ二三尺に達し菖蒲の葉に似たれども薄く縁邊に刃あり。秋日莖の上方に一二尺の穂をぬき大形の圓錐花序をなす。花は單性にして同じ花序に生じ、花後實を結ぶ、之れをマコモノミと稱す。叉九月より十一月に至るの間筍の如きものを生し其の内に黒粉を滿たす、これをマコモズミと稱す。これ一種の菌類の嫩芽を犯すによりて起れる肥大筍状のもなり。暗色の胞子これに滿つるに至れば食用に適せざれども、其の進度未だここに達せざる嫩莖の内部淡綠色の時に食することを得所謂コモヅノ(菰角)と稱するものなり。
【食】 菰角は煠でて食ふ、味ウドに似たり。種子は搗きて米に和し粥を作り、葉はちまきを卷くに用ふ、マコモ墨は油蠟を黒色に染むるに用ふ。