-- マオウ 麻黄(3565) --
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "マワウ")

地中海沿岸に自生する常綠の小灌木にして本邦には培養す。莖葉の状木賊に類似す。莖高さ一尺乃至二尺に達し多くの小枝を分ち諸所に明瞭なる節を有す葉は鱗片状にして蒼白色を呈し、綠色の莖節より對生す。六七月の頃白色の小花を開く。本花は單性花にして雌雄異株に着き、雄花の下部合一せる二箇の花被を有し、無柄にし二箇の花粉嚢よりなる八箇の雄蕊を有す。雌花は下部に鱗状をなせる數多の苞を有し其の腋部より花被を生じ合着して嚢状をなす。花後苞は肉質となりて漿果状をなす。
本植物は有毒成分を含み古來漢方醫は發汗劑として賞用したりしが、近年長井長義氏は「エフエドリン」なる散瞳性の「カルカロイド」を撿出せられたりと。