-- モヅク 一名モクヅ、モノハナ、モゾコ 海蘊(4219) --
通常淺海の岩石等に著生する褐色の藻類にして、體は線状をなし細長く多數の枝を不規則に出たし全體極て粘滑なり。食用に供す。
【食】 地方によりモヅコ、モゾコ、ウゾコ、モノハナ等稱し食用に供す。三杯酢となしたるもの殊に風味あり。叉貯藏するため乾燥する地方あれども多くは塩藏す。其の法春期採取し塩水にて能く洗ひ砂泥、汚物等を取り去りたる後水を切りたる後モヅク一斗に對し食鹽三升の割合に混合し樽に入れ貯ふるときは何時迄も貯ふることを得べし。
食用せんとする場合は樽より出し鹽出しを行ふときは恰も新鮮なるものゝ如くなりて味美なり。叉其の塩藏せるものゝ内へ魚肉、蔬菜の類を共に漬け込む時は能く久しく保つものなり。
モヅクは伊豫、志摩、參河、相模、安房、越後、佐渡、能登、若狭の諸國に産す。