-- ロベリヤ 魯別里亞(0316) --
北亞米利加原産の一年生草本にして莖高さ二尺許に達し葉は長卵形にして不齊の鋸齒を有し下部の葉は葉柄を有すれども上部にあるものは無柄なり。本種の莖は殊に稜部に毛茸を帶び葉も亦疎らに毛茸を有す。夏日類白色或は淡類藍色にして二唇に分れたる不整齊花を着生す。花後生ずる覆果は倒卵圓形にして皮薄く十條の肋線を有し上端に蕚を載き内部二房に分れ内に多數の種子を包有す。
【藥】 秋期開花の時季に採集乾燥せる者をロベリヤ草と稱し藥用に供す。米國より輸出するものは乾燥したるものを挫截壓擁し厚さ四五寸の板状となし乾燥せしめ五六寸の方形となし紙に包みて市場に出す。此草は當初印度莨と稱し合衆國に於ける民間藥なりしが一千八百七十年英、獨等に輸出せし以來貴重なる藥品の地位を占むるに至りたるものなり。本品は痙咳、神經性喘息發作、呼吸困難及び咳嗽等に用ふ。局方によれば其の用量〇・〇六乃至〇・三を一日に數囘散劑、丸劑若しくは浸劑として用ひ、叉喘息煙草となすことあり。