-- レモン 檸檬(1549) --

前印度原産の常綠灌木なり。歐洲にては地中海に瀕する地方及び亞弗利加北部に栽培せらる。樹幹には長刺を有し、葉は倒卵形にして葉柄は翼を有することなく、縁邊に微鋸齒を有す。果實は橢圓形にして两端稍々尖り、外面黄色を呈し、果皮は薄くして光澤を有す。
【食・藥】 果實は強き酸味を有し、芳香を有すれども生食するに適せず。去れど其の皮より一種の芳香ある揮發油を製す。之れを「レモン」油と稱し、清凉劑、魚鳥獣肉及び菓子の香味料とし、或は香水に調合す。果肉は枸櫞酸を含み強き酸味を有するを以て、これより搾りたる汁液を調味料とし、叉藥用及び飲料に供す。「リモナーデ」と稱する飲料はこれより製出したるものなり。