塩貯鼓漬の製造は、南北の世に釈教を崇奉し、天下の人、鮮食肉茹を好まざる時に起れり。旧くは、膏梁の家、*羞を儲待し、預備する所にあらず。今則ちしからず。山海の品類、四方の殖産、菓甑食菜を論ぜず、永く廃すべからざるの常物となす。しかのみならず、口の嗜む所、腹の適する所、美*、豊膳も必ず此を以て行ふ。調理の法、加減極めて多し。小田喜主人、能く其製造に精しきを以て、天下の人をして法に依り、巧を施し、其剛たるべき、柔たるべき、新たるべき、旧たるべき、硬軟生熟たるべきこと、緊要を*酌し、毫も遺違無からしめんと欲し、以て其秘を惜しまず、斯編の著の有る所也。余一たびこれを読み、其の意を用ふるの深きを知る。遂に其の索めに応じ、以て巻端を書す。時に丁酉の秋九月、琴台老人題す。

僕若かりしより料理てふ事を業として、四季をりをりの漬物ハたやさず貯て、自ら誇つ人にも贈たりしに、後ハいつとなく潰物をのミ*やうにハ成たるなり。さるからに、なり物、野菜の類、何くれとなく漬てたくわへもたずといふ事なし。今又、常の漬物ハ皆家毎に知ところなるを、ことごとしう並べいはんもおこがましき事ながら、秋雨の夜ばなしを傍に人ありて記したれバ、猶あやまりたるも多かるベし。其罪ハゆるし給へといふ。八百治に代りて 好食外史


漬物塩嘉言序

料理本膳の手厚き、二汁・三汁を椀に盛、五菜・七菜の器を並ぶるとも、香の物なき時ハ立派な行列に押なく、お座敷狂言に祝儀をつけざるが如し。京摂にハ家建造作をさしてつけものといふ。関東につけものと呼ハ香の物の事にして、漬ると唱へ押といふ。つけるといふハ戯場の禁句、おすといふのハ吉原なまり、人品威光ある者を圧のきくと称する事、且又、一夜づけ等の名目ハ此物より出たる詞なるべし。凡、香の物ハ食類日用の第一、千門万戸暫も欠べからず。皆家毎に有ことながら、其仕法に依て差別あり。殊更風味よきこそ肝要なれ。茲に刻める一巻ハ、世に漬物の秘事口訣、香の物の六*・三略、塩の分量、囲い方、是等の法を用ひ給へと、手前味噌なる端書を、漬物の問丸小田原屋の茶室において筆を採。花笠文京

  • 漬物の仕様ハ国々所々によりてかわりありといへども、皆大同小異にして、家々に仕来たる分量もあれば、只其あらましをあぐるのミ。
  • 凡、漬方に秘事口伝もなけれど、売物に為と素人の手に畜ふるとハ各差別ありて、同じ品とても漬塩梅の時節に遅速あり。度々手がけざれば加減の段ハ計がたし。
  • 香の物ハ貴賤一日も放るべからず。いかなる料理に珍味佳肴ありとも、此一品しばらくも欠がたし。年中心がけて畜へ置べきなり。
  • 漬物の風味よきハ其家の吉祥にて、人の望む処なり。されば諺にも、香の物の味よきハ内室のまつりごとしまりよしとて、うらやむこと世の常なり。
  • 料理に用ゆる所の味噌漬・粕づけの類数多けれども、事遠きものハ省けり。
  • 其外菓の砂糖漬、魚類の塩漬ハ嗣で後編にあらわすべし。

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