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--除草剤を持っている--

 最新の研究によると、隣の植物の音を「聞いた」植物は、自ら成長を促進させるという。音響信号を利用してコミュニケーションを取っている可能性があるようだ。

 研究チームの一員で、西オーストラリア大学の進化生態学者モニカ・ガリアーノ(Monica Gagliano)氏は、「植物が"良き隣人"を認識することを実証した。このコミュニケーションは音響的な信号の交換に基づくと考えられる」と話す。

 つまり、植物は化学物質のにおいをかぐ「嗅覚」や、隣人に反射した光を見る「視覚」に加え、周囲の音を聞く「聴覚」も備わっている可能性があるというのだ。

「植物は、私たちの想定よりもずっと複雑な生物体だ」とガリアーノ氏は話す。

◆良き隣人

 ガリアーノ氏の研究チームは、バジルなど、雑草や害虫を防ぐ「良き隣人」の隣にトウガラシを植える実験を行った。すると、単独で植えたときよりも早く発芽し、健やかに成長することが確認された。

 光や化学物質の信号を交換できないように、黒いプラスチックで隣の植物と遮断した場合でも同じ結果を得た。

 つまり、トウガラシの若木は、隣の植物の種類を認識し、それに応じて成長しているようなのだ。ガリアーノ氏は、「意図的かどうかは別にして、植物細胞の内部で生成される音響振動がカギを握っているのだろう」と推測する。

「音というのは、媒体の制限が少なく、非常にしっかりと伝わる。したがって、振動に基づくコミュニケーションは最も簡単で直感的な方法といえる」。

 ガリアーノ氏の研究チームは昨年の研究で、トウガラシが、ハーブの一種のフェンネル(ウイキョウ)など、ほかの植物の成長を阻害する化学物質を放出する「悪しき隣人」に囲まれたときにそれを認識することを実証しており、今回の研究はその続編に当たる。

◆植物語?

 ただし、植物が音に基づくコミュニケーションを行っていたとしても、意図的なものなのか、「植物語」のような共通の方式が存在するのか、詳細については一切わかっていない。

「それでも、"互いに影響し合っている"というデータがここに存在する。すべてを説明できないが、その事実は変えられない」とガリアーノ氏は話す。「仕組みはまだ不明だが、音に基づくコミュニケーション能力は、おそらく植物の間で広く普及していると考えられる」。

 同氏によると、音響信号は、植物が隣の植物を識別し、その活動を予測する上で簡単かつ素早い方法だという。化学物質信号の場合、特別な分子と受容体を作り出すことが必要となり、資源の面でコストがかかる。

◆成長促進

 アメリカにあるカリフォルニア大学デービス校の生態学者リチャード・エバンス(Richard Evans)氏は、今回の研究を受けて次のように話す。「詳細な分析が必要だが、非常に興味深い成果だ。未知のコミュニケーション手法の存在が確かめられた」。

 ガリアーノ氏は、「コミュニケーションの秘密が解明できれば、人類にとっても実用的なメリットがある」と話す。例えば、農業で音を利用すれば、特定の植物の成長を促進したり、抑制したりすることが可能になり、化学肥料や農薬などが不要になるかもしれないという。

 研究チームの一員で、同じく西オーストラリア大学に所属するマイケル・レントン(Michael Renton)氏は、「ただし、音の影響の規模はかなり小さいかもしれない」と話す。「発芽速度をほんの少し早めるだけであれば、わざわざ音楽をかけるの は経済的に割に合わない可能性がある。今後の研究で確かめていきたい」。

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