市長,猫司書からの報告です.
市長は「もう一つの赤穂事件」についてご存じでしょうか?
http://www.kibicity.ne.jp/~j-kida/image/2002/121401/
赤穂事件というと,忠臣蔵の別名のように思われますが,
大正13年(1924)刊の『赤穂事件夢痕集』という書籍に
長野県伊那の赤穂村(現在の駒ヶ根市赤穂)で起きた事件が
克明に描かれています。
事件の始まりは,「村に電灯をともす」ことにありまた。
当時,長野電燈会社が進出し始めたところを
先見の目を持った村人が,独自の村営発電所の設置を願い出ました。
しかし,ろくに審査もされず,却下されてしまいました。
その後,強引な建設作業に対し,村民の態度も硬化しました。
さらに,この地に鉄道が延長されることになって
村民の間に利害のもつれが生じ,団結にひびが入ってしまいました。
そこで電灯会社は,早速,自分の陣営に入った村民の家に電灯を引きました。
その電灯の明かりは,反対派を刺激し,村のなかで騒動が起きました。
これをきっかけに事態は焼き討ちに発展し,「内通派」の家は叩き壊され,
事件後,数百名が逮捕されました
実は『赤穂事件夢痕集』の著者は,被告たちの弁護人なのです。
著者(弁護人)は,多くが冤罪だったと本書では主張しています.
一方,赤穂騒擾事件の第一審,及び,第二審判決書は
長野地方裁判所の謄本と東京控訴院の謄本で,この事件の二審を担当した,
中村検事の家族が所有していたものを譲って頂いたものです。
事件の概要から第一審,第二審の判決文まで,
事件の全てが数百ページに記録されています。
裁判所の謄本のため,当然,加害者,被害者の個人の
住所、氏名をはじめ生年月日,職業など
個人情報が記載されていますので扱いに注意を要します。
当、長野電波技術研究所付属図書館には、
「赤穂事件夢痕集」,「赤穂騒擾事件予審終始決定書 第一審判決書」
「赤穂騒擾事件第二審判決書」を蔵書しています。
また、これらの複写物をコピー費用でご提供しております。
問題なのは,この赤穂騒擾事件は実際に起きた事件であること,それを裏付ける証拠となる,赤穂騒擾事件の一審,二審の裁判資料が,長野電波技術研究所附属図書館に蔵書されています。
この事件が関係する論文は以下のURLにあります。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai/kikanshi/ronbun8-3/nishino.pdf
さらに、この事件の面白いところ(世間に知られない理由)は,その後の駒ヶ根市や長野県との関係にあります。事件に登場した「長野電灯」の今の姿は「中部電力」であり、「長野電灯」の創業者は「小坂順造」です。「小坂」でピンと来る人は政治通だと思います。
この「赤穂騒動事件」には村人の暴動以外にも,中部電力が水力発電で発電した電力が長野県内で使用できない理由や,小坂一族が財閥化した理由,信越化学や信濃毎日新聞が長野県内で席巻している,表立って言えない歴史が詰まっています。